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たとえあたしが息を止めても

仕事柄、企業の死に出会うことが多い。

返済が滞り、電話がつながらなくなり、ある日突然破産通知が送られてくる。

私は担当を持っていないので直接見たことはないが、社長と連絡がつかず会社を訪ねるともぬけの殻になっていた、なんてドラマみたいなことがたくさん起こっているらしい。


そうなった会社の社長は?働いていた人たちのこれからは?

私が考えても仕方のないことだけど、それを考えると悲しくなる。


恥ずかしくてあまり人には言えないが、私は「困っている企業を助けたい」という思いでこの会社に入った。

でも、今は違う。

延命措置はきっとなんの役にも立たないし、死を先延ばしにしたところで問題の解決にはならない。


勿論、融資すれば回復する企業なら別の話だ。

でも、終わる命ならば、きっと貸さないのがある種の優しさなのだと思う。

融資したせいで社長がその後その債務に苦しむ人生を送るのなら、傷が少ないうちに命を終えるほうがよっぽどいいんじゃないだろうかと、今は思っている。


来年度からは担当を持つこととなるので、数字に追われる生活となる。

こんな綺麗事を言ってられる余裕もなくなるのかもしれない。

それに、日本は自由経済社会なのだから、淘汰されて然るべき企業は淘汰されなければならないのだろう。

でも、できることなら、今持っているこの感情は忘れたくないと思う。